【パパの悩み日記 vol.35】
「パパ、だいすき!」
娘が笑顔で抱きついてくるたびに、
胸があたたかくなる。
でも──
その横にいた“彼女”の顔、
ちゃんと見ていただろうか。
【夜、食卓で交わした一言だけの会話】
平日の夜。
仕事から帰ると、すでに娘はお風呂を終え、パジャマ姿で絵本を読んでいた。
「ただいま」
「おかえり」
それだけ。
彼女とは、目も合わなかった。
娘が笑っているのを見て、
“これで充分”だと、どこかで思っていた。
でも今思えば、
その“充分”には、彼女の気持ちは入ってなかったのかもしれない。

【娘との時間が、夫婦の時間を飲み込んでいく】
娘が生まれてから、生活は一変した。
夜泣き、離乳食、熱、保育園。
必死だった。
“彼女”と話す時間は、気づけば「育児の報告」だけになっていた。
・「今日こんなことがあったよ」
・「熱っぽかったから病院行った」
・「夜ごはん、これにしといたよ」
まるで業務連絡みたいに。
それを彼女もわかってたはずなのに、
ずっと笑って「うんうん」って聞いてくれてた。
でも、あの頃とちがって──
最近はその笑顔も、どこかぎこちない。
【娘が寝たあとの、無音のリビング】
娘を寝かしつけて、
リビングに戻ると彼女が一人で洗濯物をたたんでいた。
「手伝おうか?」
気まずさを誤魔化すように声をかけると、
「ううん、大丈夫」
その声は優しくて、
でも、やけに遠かった。

【“ふたり”だった時間の記憶】
思い出す。
娘が生まれる前、
ふたりで夜のドライブに出かけたり、コンビニのアイスを分け合ったり。
他愛もない会話で笑い合えた。
その時間が、
今はもう思い出せないほど遠く感じる。
【娘が言った、ふとした一言】
「パパとママ、けんかしてるの?」
ある夜、娘がぽつりと聞いてきた。
笑ってごまかしたけど、胸がぎゅっと苦しくなった。
“見せてなかったつもり”の気持ちは、
ちゃんと伝わってしまっていたんだ。

【彼女と、もう一度向き合いたい】
夜、リビングの隅に置いてあったアルバムを開いた。
娘がまだ生まれたばかりの頃、
彼女がぼくに笑いかけていた。
その笑顔を、
最近いつ見たっけ──。
スマホを手に取って、
隣の部屋にいる彼女にLINEを送った。
「今度、ふたりで出かけない?娘が保育園の間に」
数分後、彼女から返ってきたのは
スタンプひとつ。
それでも、
なんだか少しだけ、空気が変わった気がした。
【取り戻せる“関係”は、まだここにある】
子育ては、確かに忙しい。
でも、それを理由に
「夫婦でいる時間」まで手放してはいけなかった。
彼女の笑顔に、ちゃんと気づける自分でいたい。
娘の笑顔のすぐそばには、
あの日の“彼女の笑顔”もあったことを、忘れずに。
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※本記事は実体験をもとに再構成したエッセイであり、プライバシー配慮のため日付や細部を一部ぼかし、理解を助ける目的で時系列や表現を調整しています。

2歳の娘と過ごす日々のなかで、父親としての葛藤や喜びを綴っています。
会社勤務・平凡なサラリーマンだからこそ伝えられる、リアルな「パパの悩み」。
子育てに正解はないけれど、どこかの誰かが「わかる」と思ってくれたら、それだけで嬉しいです。
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