2025年4月某日・夕方のこと。
その日、仕事では思うように結果が出ず、上司には小言を言われ、気づけば溜息ばかりついていた。なんとか終業時間を迎え、足早に電車に乗り込み、家に帰った。
でも、帰宅した瞬間から、家の中のざわざわした空気に、心の余裕が全部こぼれていった。
娘はリビングにおもちゃを広げていて、妻も夕飯の支度でバタバタしていた。
「おかえりー」
娘の声に「ただいま」と返したものの、心はどこか上の空。
――そして、あの瞬間がきた。
おもちゃが床に散乱していて、俺はつい強い口調になってしまった。
「いいかげんにしなさい!何回言えばわかるんだよ!」
声が思ったより大きく響いて、娘の動きがピタッと止まった。
少しの沈黙のあと、娘がぽつりとつぶやいた。
「パパなんか、きらい」
小さな声だった。
でも、その一言は、鋭く心に刺さった。
まるで、体の奥から何かが崩れていくようだった。

そのあとは何を話したか、よく覚えていない。
いつものようにごはんを食べて、お風呂に入り、寝かしつけをして。
娘は何事もなかったように「おやすみ」と言った。
でも、俺はずっと、さっきの言葉が耳の奥に残っていて、何度も繰り返し響いていた。
リビングの明かりだけが灯る夜。
ソファにひとり腰を下ろして、深く深呼吸した。
――あんなに好きなのに。
娘が生まれてから、仕事を頑張る理由も、家に早く帰りたい理由も、全部彼女だった。
泣き顔も、笑顔も、ぐずって抱っこをせがむ姿も、ぜんぶ愛おしかった。
それなのに、俺はその大切な存在に、「きらい」と言わせてしまった。
⸻
きっと、娘は明日になれば、また笑ってくれるだろう。
さっきの言葉も、もう忘れているかもしれない。
でも俺は、忘れられない。
怒鳴ってしまったこと、感情のままに声を荒げたこと、
そして、「パパなんか、きらい」と言わせてしまったこと――
それが、父親としての未熟さなんだと思う。
子どもはまだ、心をまっすぐぶつけてくる。
だからこそ、大人の自分が受け止めるべきだった。

もし、同じように子育てのなかで後悔を抱えているパパがいたら。
「わかるよ」って、そっと肩を叩いてあげたくなる。
完璧な親なんていない。
ただ、間違えたらやり直せばいい。
明日また、「おはよう」からやり直そう。
ぎこちなくても、不器用でも、
それでも、父親でありたいと願う自分がいる限り、
俺たちは、きっと大丈夫だ。
この夜の気持ちを、またここに残しておきます。
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