あの頃、食べることが“遊び”だった。『Sassyのあかちゃんえほん もぐもぐ』【絵本の時間 vol.7】

絵本と育児

「もぐもぐって、かわいいね」

娘が赤ちゃんだった頃、よくそんなふうに笑っていた。

ばなな、にんじん、すいか……

ページをめくるたびに出てくるカラフルな食べものたちに、目をまんまるくして喜んでいた姿を、今でもはっきりと覚えている。

この絵本は、そんな“食べること”がまだ「遊び」であり、「冒険」だった頃の記憶を思い出させてくれる。

当時、娘にとって食事は“義務”ではなく、“楽しみ”であり、“まねっこ”だった。

言葉よりも先に、「ぱっくん」「もぐもぐ」の音に反応し、

自分の口を動かしてみせる──。

そんな無垢な姿を見て、僕たち親の方が笑顔になっていた気がする。

【絵本の魅力①:赤ちゃんが思わず見つめる“色と形”】

この絵本のいちばんの特徴は、そのビジュアルにある。

Sassyらしい、黒・白・赤の強いコントラストに加え、左右対称の顔や、ポップでくっきりとした模様。

これらのデザインは、すべて赤ちゃんの発達心理に基づいて作られているという。

娘も、いくつか絵本が並ぶ中で、なぜかこの本だけは“じーっ”と見つめていた。

視覚的にしっかり刺激があるのだろう。

指をさして、笑って、なにかを伝えようとしてくる。

そういう反応が返ってくると、

「この絵本は、“届いてる”んだな」と、親として実感できる。

【絵本の魅力②:“音”で楽しむ食育の第一歩】

この絵本は、「読む」というよりも「音で楽しむ」感覚が強い。

「ぱっくん」「もーぐもぐ」「かぷっ」「がぶっ」──

擬音語やくり返し、伸ばし音がたっぷり登場する。

特に赤ちゃんは、まだ言葉の意味はわからなくても、音のリズムや響きにとても敏感。

娘もこの本を読むときは、まだ話せない時期でも一緒に口を動かして「んー、まっ、もー」と反応していた。

最初はただの反射かと思ったけど、

何度も読んでいくうちに、「ぱっくん」と言うと口を開けるようになっていった。

まるで絵本と一緒に“食べる練習”をしていたみたいだった。

それが、「食育」という言葉の意味を、実体験として感じた瞬間でもある。

【絵本の魅力③:読みながら育む“生活リズム”】

この絵本は「食べる」をテーマにしたストーリーになっている。

赤ちゃんにとって、“生活リズム”を覚えることは大切な成長の一部。

そして、絵本はその導入にぴったりのツールになる。

娘にとって「いただきます」はこの本から覚えた言葉だった。

「いただきまーす!」のページで、絵にあわせて僕が手を合わせると、

娘も真似して、ぺたんと手を合わせてくれた。

毎回そうやって読んでいるうちに、食卓の前でも自然と手を合わせるようになった。

いま思えば、絵本と暮らしがつながっていた。

「読む」と「生きる」が、まだ完全に分かれていない赤ちゃん時代だからこそ、

こうした絵本の力はすごいんだと思う。

【まとめ:赤ちゃんだったあの頃、確かにあった絆】

何度も読んで、角がすれてボロボロになったこの絵本。

でも、その一枚一枚に、娘の「初めて」が詰まっている。

初めて笑った食べもの。

初めて声を出した擬音語。

初めて口を動かした「もぐもぐ」。

成長とともに絵本の内容を忘れていっても、

そのとき確かに交わした笑顔やスキンシップは、

親の心の中にちゃんと残っている。

今ではすっかり“自分で食べる”ようになった娘。

毎日「もう〜! こぼさないで〜!」とバタバタしてるけど、

たまにこの本を手に取ると、不思議と心が落ち着く。

棚にこの絵本を残している理由。

それはきっと──

「もぐもぐ」が、僕たちの親子としての“はじまり”だったから。

📚 作品情報

『Sassyのあかちゃんえほん もぐもぐ』

作・絵:La ZOO

出版社:KADOKAWA

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