【パパの悩み日記 vol.34】
「今日は、俺が寝かしつけるよ」
何気なく言ったその一言に、彼女は「ありがとう」と笑った。
でも、なんだかその声が少しだけ…遠く感じた。
夕飯を食べ終わったあと、娘をお風呂に入れて、絵本を読んで、寝かしつけ。
その間、彼女はキッチンで黙々と洗い物をしていた。
僕は寝かしつけが終わった後、スマホで少しSNSを見て、そのままテレビをつけた。
「…あ、まだ洗ってる」
時計を見ると、もう22時を過ぎていた。
今日の食器、そんなに多くなかったはずなのに。
リビングの明かりを落として、そっと覗き込むと…
⸻
彼女はシンクに手をかけたまま、じっと立ち止まっていた。
洗い物はすでに終わっていて、蛇口からは一滴も落ちていなかった。
ただ、立ち尽くしていた。
「…疲れた?」
そう声をかけると、ゆっくりと首を横に振った。
でも、何も言わなかった。
あの日から、ずっと思っていた。
彼女は、毎日ちゃんと“こなして”くれていた。
娘のごはん、洗濯、園の準備、体調管理、家庭連絡…
仕事に行ってる僕が「頑張ってる」と言われる裏で、
彼女は「頑張ってる」とすら言われないことを、黙って続けてくれていた。

きっと、僕は見えてなかったんだと思う。
娘のことはよく見ていた。
体調は? 機嫌は? 今日はどんなことがあった?
でも――
妻のことはどうだっただろう。
彼女の体調、彼女の疲れ、彼女の気持ち。
いつから見なくなってたんだろう。
僕は父親としての自分ばかりを気にしていた。
「育児に参加してるつもりだった」
「夫婦で協力してるつもりだった」
でも、その“つもり”は、ただの自己満足だったのかもしれない。
あの夜、彼女が言った。
「別に、やってほしいとかじゃないの。
ただ、“見ててくれるだけ”で、救われるときがあるんだよ」
その言葉が、胸にずっと残っている。

だから、今日は伝えようと思う。
「いつも、ありがとう」
「ずっと、見えてなかった。ごめんね」
「これからは、もっとちゃんと“見てる”から」
家族を守ってくれているのは、
きっと、こういう小さなところで踏ん張ってくれている彼女だ。
気づくのが遅くて、本当にごめん。
でも、これからは変わりたいと思った。
夫婦って、そうやって“気づき合いながら”進んでいくものだから。
⸻
何も言わずに頑張ってくれていたあなたへ。
この場を借りて、心から伝えたい。
ありがとう。そして、これからもよろしくね。
#夫婦のかたち
#育児パパ
#家族の時間
#共働き夫婦
#パートナーへの感謝
#すれ違いと気づき
#見守る愛
#パパの悩み日記
※本記事は実体験をもとに再構成したエッセイであり、プライバシー配慮のため日付や細部を一部ぼかし、理解を助ける目的で時系列や表現を調整しています。

2歳の娘と過ごす日々のなかで、父親としての葛藤や喜びを綴っています。
会社勤務・平凡なサラリーマンだからこそ伝えられる、リアルな「パパの悩み」。
子育てに正解はないけれど、どこかの誰かが「わかる」と思ってくれたら、それだけで嬉しいです。
コメント