「もう寝る時間だよ」
毎晩のように、何度も口にしているセリフだ。
でも、娘はいつもその言葉を聞きたくなさそうにする。
まだ遊びたい、まだ起きていたい、パパともっと一緒にいたい──そんな気持ちが、全身から伝わってくる。
「ねむくないもん!」
「まだあそぶ!」
寝かしつけの時間は、まるでちいさな戦い。
こっちは眠る準備を整えて、絵本もスタンバイしているのに、娘はお布団から脱走しようとする。
そんな“寝かしつけバトル”のある夜、僕は1冊の絵本を手に取った。
タイトルは──
『ノンタン おやすみなさい』(キヨノサチコ/偕成社)。

【あの夜のこと】
その日もまた、娘は「まだ寝ない!」とふてくされ、ママはすでにくたくた。
バトンは僕の手に渡った。
正直、僕も仕事で疲れていて、体力的には限界に近かった。
でも、ただ怒って寝かせるのは違うと思った。
なにか気持ちを切り替える方法がないか──そう思って、棚からこの絵本を選んだ。
ノンタンが表紙で「おやすみなさい」と言っている。
けれど、ストーリーの中では、なんと夜遅くに友だちの家を訪ね歩いていくノンタン。
「まだあそびたいのー!」
「だれかー あそぼー!」
ノンタンのわがままっぷりに、娘は思わず爆笑。
「ノンタン、あぶないよ〜!」とツッコミを入れながらページをめくっていた。
でも、物語が進むにつれて、次第にトーンが落ち着いていく。
ノンタンが会いに行く友だちみんなが、「おやすみなさーい」と眠ってしまっているのだ。
その静けさが、絵本の中から娘の心にもしみ込んでいったようだった。
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【絵本の紹介】
■ ノンタンの“夜の冒険”に、こどもは共感
夜になっても遊びたいノンタン。
娘にとって、それはまさに“自分と同じ気持ち”。
「ノンタン、うちの子じゃん!」なんて言いながら読んでいた。
でも、読み進めるうちに気づく。
どのページにも、静かであたたかい夜が流れている。
いつのまにか娘の呼吸も落ち着いて、体の力がすこしずつ抜けていった。
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■ 読みやすく、くり返しが心地いい構成
この絵本の魅力は、なんといってもテンポのよさ。
3〜5分ちょっとで読み終えられる長さは、寝かしつけにちょうどいい。
「〜さーい」「〜ないのー?」といった言葉のくり返しが、子どもの耳にも心地よく響く。
音のリズムに乗って、自然と“寝るモード”へと導いてくれるような感覚がある。
ただし、我が家では「もう一回!」が3セット連続だったけど(笑)。

【まとめ】
「まだ寝たくない」
「もっとあそびたい」
その気持ちは、きっとどの子にもある。
でも、「おやすみなさい」を無理に言わせるより、ノンタンのように“遊びたい気持ち”を一度受け止めてあげるほうが、娘の心にはしっくりきたみたいだった。
あの夜、ノンタンが娘の気持ちを代弁してくれた。
「まだあそぼー!」ってノンタンが言ってくれたことで、娘は自分を否定されなかった。
だからこそ、すっと気持ちが落ち着いたのかもしれない。
この絵本は、寝かしつけの“正解”じゃないかもしれない。
でも、“寄り添ってくれる味方”には、なってくれる。
僕は、そんなふうに感じている。
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📚 作品情報
『ノンタン おやすみなさい』
著:キヨノサチコ
出版社:偕成社
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✏️ 次回予告(予定)
次回は、“一緒に声を出したくなる”絵本をご紹介予定です。
読み聞かせがちょっと苦手なパパにもおすすめの1冊です。
(※その時の気分で変わるかもしれませんが…笑)
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🏷 ハッシュタグ
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